剣道を志すうえで、最も身近でありながら、実は奥が深いのが「竹刀選び」です。特に成長期にある剣士にとって、適切なサイズの竹刀を選ぶことは、正しい打突フォームを身につけ、上達を早め、さらには怪我を防ぐためにも不可欠です。
「今の身長なら何尺の竹刀が良いのか?」「試合での規定体重はどうなっているのか?」といった疑問は、誰もが一度は通る道です。本記事では、六段・錬士としての指導経験を踏まえ、全日本剣道連盟の規定に基づいた選び方の基準を、余すことなく解説します。
剣道の竹刀サイズ(36・37・38・39)の基準と選び方
竹刀のサイズは「尺(しゃく)」で表されます。剣道における竹刀のサイズ選びは、単に「なんとなく」で選ぶのではなく、使用者の身長、体力、そして「何のために使うのか」という目的に合わせて決めるのが鉄則です。
サイズ別の適応目安と特徴
まずは、一般的なサイズ区分と対象となる学年の目安をご覧ください。
| 竹刀サイズ | 主な対象(目安) | 身体的特徴 |
| 36(さんろく) | 小学生(低学年〜中学年) | 身長140cm前後まで |
| 37(さんなな) | 小学生(高学年) | 身長145cm〜155cm前後 |
| 38(さんはち) | 中学生・高校生(女子) | 身長155cm〜165cm前後 |
| 39(さんく) | 高校生(男子)・大学生・一般 | 身長165cm以上 |
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36サイズ: 剣道を始めたばかりの子供が、正しく振りかぶる動作を習得するために最適です。軽さを重視し、まずは「剣先を走らせる」感覚を養います。
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37サイズ: 小学校高学年になり、筋力がついてくる時期です。この時期から少し重みのある竹刀を使い、手首の使い方を洗練させていきます。
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38サイズ: 中学生の標準サイズであり、高校女子の試合規定サイズでもあります。剣道の基礎となる「体幹を使った打突」が求められる時期です。
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39サイズ: いわゆる「大人サイズ」です。高校男子から一般まで共通で、最も竹刀の重量規定が厳しくなります。
「大きい竹刀を使えば強くなる」という誤解
指導現場でよく見かけるのが、「早く強くなりたいから」と、規定サイズよりも大きな竹刀を振り回しているケースです。これは非常に危険です。
重すぎる竹刀は、正しい剣先の間合い(攻め)を作る前に、腕の力だけで打とうとする悪癖を生みます。結果として、肩が上がり、打突のキレが悪くなり、最悪の場合は腱鞘炎や肘の故障を招きます。まずは、自分の筋力で「真っ直ぐ・速く」振れるサイズを選ぶことが、上達への最短ルートです。
【重要】試合で使用する竹刀の「重量規定」を完全網羅
公式戦に出場する場合、竹刀には「全日本剣道連盟」が定める厳格な重量規定があります。練習用には多少の柔軟性があっても、試合で検量(重さのチェック)に落ちれば失格となります。特に鍔(つば)と鍔止めを含まない「完成品(仕組み)の状態」での重量を理解しておくことが重要です。
試合用竹刀の重量規定一覧(最低重量)
| サイズ | 中学生(男女) | 高校生(男子) | 高校生(女子) | 一般(男子) | 一般(女子) |
| 36以下 | – | – | – | – | – |
| 37 | 400g以上 | – | – | – | – |
| 38 | 440g以上 | – | 420g以上 | – | – |
| 39 | – | 480g以上 | – | 510g以上 | 440g以上 |
注意点: 上記の数値は「最低重量」です。これより軽い竹刀は試合で使用できません。一方で、上限の制限はありませんが、あまりに重すぎるとスピードが犠牲になります。
剣道六段からのアドバイス:重さの選び方
試合規定ギリギリの重さを選ぶか、それとも少し重めを選ぶか。これには個人のプレースタイルが関係します。
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規定ギリギリ派: 「スピード」と「連打」を重視するタイプ。体力が続く限り攻め続けたい選手に向いています。
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少し重め派: 「重圧」と「打ちの強さ」を重視するタイプ。強豪校の選手や、一打で一本を取り切る剣道を目指す選手に好まれます。
最近のトレンドとしては、竹刀の素材である「真竹(まだけ)」や「桂竹(けいちく)」の特性を活かし、重心(バランス)を自分の手元に近づけた「手元重心」の竹刀が非常に人気です。重さの数値以上に「軽く感じる」ため、操作性と打突の強さを両立させやすいからです。
失敗しない竹刀選びのための3つのチェックポイント
サイズと重さを確認した後は、以下のポイントを確認して購入しましょう。特にオンラインで購入する際は注意が必要です。
1. 「桂竹」か「真竹」か
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桂竹(けいちく): 安価で耐久性が高く、練習用に最適です。まずはここから始めましょう。
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真竹(まだけ): 繊維の密度が高く、竹刀がしなりやすいため、打突時の感覚が非常に優れています。試合用として愛用者が多いです。
2. 「柄の太さ」と「握り心地」
竹刀のサイズだけでなく、柄(手元)の太さも重要です。
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小判型(こばんがた): 握りやすい楕円形。手の内を締めやすく、正しい持ち方を習得しやすいです。
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丸型: 一般的な形状。どんな握り方にも対応できる汎用性があります。
3. 先細タイプか胴張りタイプか
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先細タイプ: 剣先が細く作られており、相手の竹刀を抑えやすいのが特徴。技術重視の選手向けです。
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胴張りタイプ: 手元付近が太く、重心が手元にあるため、重さを感じにくく操作性に優れます。剣道初心者から上級者まで幅広い支持があります。
メンテナンスと買い替えのタイミング
最後に、竹刀の「寿命」についてお話しします。竹刀は消耗品です。以下のサインが見えたら、即座に交換してください。
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ささくれ: 指でなぞって少しでも引っかかりを感じたら、すぐに紙やすりで削るか、新しい竹刀に交換してください。相手を傷つける可能性があるため、絶対放置は厳禁です。
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しなりの低下: 竹が乾燥して硬くなると、しなりがなくなり「パチン」という軽い音の打突しか出せなくなります。竹刀の弾力がなくなってきたら替え時です。
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ひび割れ: 弦の反対側や、竹の節にひびが入っている場合は非常に危険です。無理に使わず、早めに新しいものへ切り替えましょう。
適切な竹刀選びは、剣道家としての大切な第一歩です。自分の身体と技術に合った「最高の相棒」を見つけ、日々の稽古に精進してください。
